2011年6月27日月曜日

日本滞在記ー第20話~「能美島、再び」


1月末、来日したばかりの頃、
久しく顔を会わせてない叔母さんに、誘われるがままつれて行かれた離れ島。
今度はお別れの挨拶と言う形で、今一度行く事になりました。

前回は叔父さんが車で迎えてく来てくれたから、
事実上、一人で港に来るのは初めてだったり。
こんな立派なターミナルだったんだね!

しかも、あの時は小雨が止まぬ、微妙な天気だったと来たから、
今日、こんな晴れた日は、港は見晴らしがホントに素晴しく、
出船時刻よりやや早めに来た事に、感謝するばかりである。





1時間近い船旅も早いもので、気づいたらもう能美の町並みが目の前だった。

「今度来たら島中車でゆっくり案内したるで!」っと言ってくれた叔父叔母も、
地元名産の牡蠣捕獲に、ここ最近は非常に忙しく、
ようやく顔が合えた今日も、すでに三月の九日。
つまり帰国の二日前である。


僕が想うに、多分叔父と叔母は無理して都合を合わせてくれたんだろう。
一つ前に顔が見えたのは一ヶ月前だけど、そのまた一つ前は、なんせ八年前だ。

叔母は母の姉にあたる人である、しかし血縁は無い。
前世代の複雑な因縁のせいか、我が家の親類一同は皆難解な関係と聞かされた事がある。
血は繋がらず、国籍すら違う、そんな叔母は生涯子宝に恵まれず、
かわりに一番仲が良かった母の子を、ずーと自分の子のように愛してくれた。
そんな母代わりな人に、黙って国に帰る事は出来ないし、
そう簡単に帰らせてもくれないだろう。

案の定、この日は船の最終便ぎりぎりまで引き止められた。
大学に落ちた事、将来の事、僕の事を実母より心配な叔母さん、
大丈夫!大丈夫!きっとなんとかなると言う楽天的な叔父さん、
一緒になってからまだ10年のこの二人、
本当にお似合いの夫婦なんだなっと、いまさらながら思う僕でした。

そして、ついにやってくる最終便。
涙脆い叔母さんは何時も何時も別れ際で泣き出す困った人だったのに、
今回はまぶたに涙を溜めはしたが、笑顔で見送ってくれた。

勿論僕も、笑顔で別れを伝える。

「また来るよっ!」








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